静岡県治験ネットワークを運営する公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構(主たる事業所:静岡県駿東郡長泉町、理事長:大坪 檀、以下「ファルマバレーセンター」)と株式会社DCT Japan(本社:東京都中央区、代表取締役社長:武藤真祐、以下「DCT Japan」)は、分散型臨床試験(DCT)の実施におけるサテライト医療機関事業に関する業務提携契約を締結しました。
本提携により、DCT Japanが支援する分散型臨床試験において、ファルマバレーセンターを通じ、静岡県内でより多くの患者様が治験に参加する機会を提供できる体制が構築されます。
協業の背景と目的
オンライン診療、看護師による訪問看護、ウェアラブルデバイス等のIoT技術を活用することで治験実施機関への来院を必要としない分散型臨床試験(DCT)は、患者中心主義(Patient Centricity)の考え方に基づき、患者さんの来院負担を軽減する目的で欧米を中心に積極的に取り入れられてきました。日本国内では新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、その活用が急速に進んでいます。
さらに、ドラッグラグやドラッグロスの問題が依然として深刻である中、これらの課題解決に向けた取り組みの一環として、国際水準の臨床試験実施体制の整備が求められています。DCTは、従来の治験では困難だった広範囲にわたるエリアからの患者募集を可能とし、症例エントリーの迅速化が期待されることから、臨床試験実施体制の観点でも注目されています。
両者の役割
本提携のもと、DCT Japanは支援する分散型臨床試験の情報をファルマバレーセンターに共有し、ファルマバレーセンターはこの情報を基に、静岡県治験ネットワークに加入している医療機関から治験実施に協力可能なサテライト医療機関を募集します。これにより、静岡県内のより多くの患者様が治験に参加できる機会を創出します。
本契約の締結にあたり、ファルマバレーセンター 創薬・臨床研究支援部の橋本憲治氏は「国内における分散型臨床試験の導入、普及を加速させるためには、治験実施医療機関とサテライト医療機関の連携が必須であると考えています。また、分散型臨床試験は今後の医療イノベーションを加速させる重要なキーになると考えています。本業務提携により、静岡県治験ネットワーク内外の施設間連携を深め、静岡県内のより多くの患者様に治験に参加頂ける機会を創出し、より良い治験環境を提供できるよう努力して参ります。また、分散型臨床試験を実施することにより症例集積力を高め、治験依頼者の開発コストの削減、国内のドラッグラグ解消に向けて取り組んで参ります」と述べています。
また、DCT Japan 取締役の柿木博之は「当社はこれまで、オンライン診療、ホームナーシングといったソリューションを中心にDCTの支援をして参りましたが、多様化するニーズへの対応、本邦におけるさらなるDCTの発展・促進を目的に、サテライト医療機関ネットワークの拡大に努めて参りました。この度、治験を含めた先進医療の開発に積極的に取り組まれているファルマバレーセンターとサテライト医療機関事業を推進できることは、当社のみならず日本におけるDCT普及の観点においても大きな礎になるものと考えています」と述べています。
今後の展望
DCT Japanは本提携を皮切りに、日本各地に存在する地域医療連携ネットワークや治験ネットワークとの協業体制を積極的に構築し、全国の患者様に治験の機会を届けることを目指します。DCTの普及を通じて、治験における患者様の利便性と参加しやすさを大幅に向上させ、製薬企業や医療従事者の皆様にとっても新しい可能性を提供する。これがDCT Japanの使命であり、活動の原動力です。
DCTについて:
DCT(Decentralized Clinical Trial:分散型臨床試験 )は、オンライン診療や看護師による訪問看護、ウェアラブルデバイス等のIoTを活用することによる医療機関への来院に依存しない臨床試験を指し、これにより患者さんの健康状態や医療機関との物理的な距離による来院負担を軽減し、症例エントリーの向上、試験コストの減少等に寄与します。
ファルマバレーセンターについて:
ファルマバレーセンターは、恵まれた交通インフラや自然環境、健康関連産業の集積を背景に、世界レベルの高度医療・技術開発を目指して先端的な研究開発を促進し、医療からウエルネス産業にいたる先端健康産業の振興と集積を図るファルマバレープロジェクトの中核支援機関として、静岡県や静岡がんセンターと連携し、地域の産学官金のネットワークを通じて企業の医療健康産業への参入促進と製品化・事業化を支援しています。また、静岡県治験ネットワークを運営し、ネットワーク登録医療機関との連携により静岡県内での治験の活性化を図っています。